歯周病は薬で治せるの?
こんにちは、衛生士の小野です!!
今日は時折患者さんから
『歯周病は薬で治す事はでいないのですか…?』
『歯石は取ると染みるし、とらないほうが良いんでしょ?』などの質問を受けることがあるので、
それについてお答えしたいと思います。
実は薬で治すことはできない
一般の病気=薬を飲めば良くなる…!っというイメージがあるのではと思います。
ですが、残念なが歯周病は薬では治す事ができないのです。
まず、歯周病の主な原因であるのはプラークという細菌の塊です。プラークはバイオフィルムという構造をもっています。
バイオフィルムとは細菌の集団を含んだ基質が固体に付着しているものです。
この構造のなかの細菌は、抗菌薬に対して数百倍も抵抗性が増すので抗菌薬を飲んだり、注入したりしても浸透しません。なので、細菌を駆逐することができないのです。
しかしバイオフィルム構造を機械的に破壊すると同時に投薬することによって、効果が期待でることもあります。
薬の効果はごくわずか、短時間しか効き目が持続しない
ここで少し研究論文をご紹介いたします。
Bogren(2008)らの論文で、抗菌薬(ドキシサイクリン)を局所的に投与して歯科衛生士によるクリーニングを併用した場合と、クリーニングのみの場合と比較する実験を行いました。
術後3か月は有意に改善しましたが、6か月経過した後はほとんど差がみられなくなりました。
また、Heller(2011)の論文では、歯周病の患者さんに、抗菌薬(アモキシシリン、メトロ二ダゾール)を全身投与し細菌的効果を検討する実験にて、
抗菌薬を使わなかった場合と明らかな違いが見られませんでした。
結果をまとめると、『局所投与・全身投薬の効果はいずれもごくわずかで、短時間しか効き目が持続しない』ことがわかりました。
どのような時に効果があるのか?
もし抗菌薬を使用するとしたら、急性症状のように短時間、効果が得らればいいという状況に使用すると良いという事になります。
抗菌療法の臨床的効果は微妙なもので、患者さんによって、あるいは部位によっては抗菌薬がよく効く場合があるかもしれません。
基本的にはほとんどは機械にバイオフィルムを除去する治療を徹底すれば治癒します。
ですから歯周病を治すには薬に頼るのではなく、歯科医院でのクリーニングが大切になってきます。
薬に頼っていても一時的なものでしかないということですね。
もちろんその中でも、患者さん自身の歯磨きが一番大事です!
私たちがきれいにした後も、そこに汚れがつかないように毎日のケアが一番大事です!
小野