歯の痛みの診査方法について
皆さんこんにちは☀
梅雨明け後も雨が多い日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか?
今回のブログを担当します衛生士の小金澤です。
今回お話しさせていただくのは、当院でおこなっている診査についてです。
日々診療していると、
「突然歯が痛みだしたので診て欲しいのですが…」という問い合わせをいただくことがあります。
多少の痛みでも急に症状があらわれると心配になってしまいますよね。
あまりにも虫歯が進行してしまっていると、歯の中の神経を除去する必要がある場合もあります。
そこで今回のブログのテーマは
【歯の痛みが強ければ神経をとらないといけないのか?】 です!
まずは【歯の神経】について少しお話しようと思います。
歯の中には【歯髄】と呼ばれるものがあります。
歯髄は神経線維と血管で出来ていて、歯に栄養や水分を供給しているところです。
この【歯髄】が何らかの影響で炎症を起こすと【歯髄炎】となり、痛みの原因となるのです。
炎症が起きる原因として
①むし歯の原因細菌による歯髄の感染
②噛み合わせが高い時の過度な刺激や歯ぎしりなど
③外傷(歯を強くぶつける)
④化学刺激
⑤電気刺激
などが考えられます。
この歯髄炎には急性と慢性があり、急性歯髄炎は強い痛みが特徴です。
一方、慢性歯髄炎は刺激が加わると痛みを感じることが多いようです。
急性に比べると強い痛みがないので気付きにくいですが、違和感を感じたら受診することをお勧めします。
そんな症状をかかえて来院するのですから、一刻も早く治療して欲しいと皆さん思いますよね?
ですが、治療の前にしなければならないことがあります。
それは《その歯は本当に治療の必要があるのか?》という事をしっかり検査することです。
というのも、歯髄の状態を正確に診断するのは非常に難しいと言われているのです!
歯髄は周囲を硬組織に囲まれている事から、一度炎症がおきると循環障害を引き起こしやすいと言われています。
歯髄の中に血流があるのかないのかという事が、歯髄の健康度合いを知る術なのですが、そもそもそれを知るための検査方法は
レーザーを当てたり、血液の酸素飽和度などを見る必要が今現在だとあるので、実際の臨床現場では現実的ではありません。
実際はどうやっているのか?
というと、歯髄の神経線維の反応を患者さんの歯に冷たいものや、熱いものなどを当てることによって診査しています。
つまり、歯髄の状態自体を臨床所見や症状から正確に判定するのは非常に困難であるということなのです。
ここで過去の文献を紐解いていきたいと思います。
1968年にseltzerらが発表した論文でも
「痛みの強さと歯髄の病態とに明らかな相関は認められない」としています。
ですが、
『病理学的に炎症が憎悪するほど痛みは出やすく、重度の痛みが出た場合には神経をとらなければならないような歯髄の炎症を侵している傾向にある』
という結果も出ています。
また、
自発痛がある患者さんのおよそ90%に過去に痛みの既往症があり、その中の約80%に重度の歯髄炎または歯髄壊死が認められたとしています。
さらに、打診痛も一部もしくは全部性の歯髄壊死に認められています。
この事からも、痛みや打診の有無が診断の1つの指標になると言えます。
こういった事から、当院では歯髄炎が疑われる患者さんには問診の他に次の5項目の検査を基本的な検査として行っています。
①打診(歯を叩いてチェックする)
②根尖部の触診
③プロービングによるチェック
④冷・温痛診断
⑤電気歯髄診断
もちろんこれ以外にも、必要があれば、レントゲン検査をおこなったし、他にも
実際に咬合のチェックをしたり、硬いものを噛んでもらったり、ひびなどが無いかどうか染色してみたり・・・・
と言う具合で様々な追加検査を行います。
これらの検査結果をふまえて、本当に治療の必要があるのか総合的に診断を行っています。
1つの検査で、歯の状況を知ることは極めて困難ですから、様々な方法から多角的に診断しています。
そうすることによって、間違った診断(誤診)を防ぐ事ができます。
検査の前には患者さんにあらかじめどういった内容の検査をするのかお伝えしていますが、ご不明な点はスタッフにお気軽にご相談下さい(*^^*)