歯内療法(根の治療)の時のレントゲンについて、CBCTは必要か?
衛生士栁澤です(*^◯^*)
今回のブログでは、
『歯科治療のレントゲン撮影はなぜ種類があって、どのような時にCBCTが必要か?』
という内容についてお話ししようかと思います(*´ω`*)
一般的に歯科医院で撮影されるX線撮影には、パノラマX線、デンタルX線、CBCTという3種類のものがあります。
まず、パノラマエックス線写真についてご説明すると、簡単には一枚でお口全体が写るもので、歯が何本あるか?など大まかなお口の中の状態がわかるものです(*´ω`*)
これは、親知らずの埋まり具合を知る時や、上顎洞といって鼻の病気などと関連するレントゲンでの異常について知る時に役に立ちます。
次にデンタルエックス線写真とは小さなフィルムをお口の中に入れて特定の歯にポイントを置き、細かく見るためのもので
しんがい歯科医院では1番使われるものです。
虫歯の有無や進行状態、歯石の有無、根の状態、歯を支えている骨の状態がおもにわかります。
CTとは、3次元的での解析が可能な為、外科処置などレントゲンより更に詳細が知りたいときに使います。
それでは、
しんがい歯科で、もっとも撮影機会が多い、先ほど出てきた、デンタルエックス線写真についてもう少し詳しくお話ししようと思います。(*´ω`*)
エックス線写真にはアナログとデジタルの2種類があり、
アナログは現像液などを使用し、手作業でフィルムに現像する物で、現像液の温度管理と交換が必要でその日の温度により左右されやすく、定着不足などにより画像のムラが生じやすいです。
またパソコンへの取り込みも難しいです。
デジタルは撮影したフィルムを機械に流すと自動でパソコンに取り込まれ、その日の温度に左右されることなく安定した画像を撮影することができますし、被爆量もこちらの方が少ないです。今はこちらが主流となっていて当院でもこちらを使っています。
しんがい歯科では根の治療に力を入れ治療を行なっていますが、根の先の病気などの細かい変化はデンタルX線では周囲の皮質骨の破壊まで進まなければ、視覚的に確認することがしにくい。
ということが過去の文献などから言われております。
特にこれは奥歯の病気に関して言える事です。
エックス線写真を撮影しても一方方向のみでは、見えない場合があり、これをカバーするのが偏心撮影です!
これについては、症例の『根の治療の時は角度を変えて2枚撮影します』を参考にしてください。
これらの理由から当院ではデンタルX線写真を角度を変えて複数枚撮影してます!
ここから先はデンタルエックス線とCTの比較についてお話しします٩( ᐛ )و
Patel sが2009年に発表したエックス線写真とCTでは根尖病巣の検出精度が高いか?という観察実験を行いました。
同じ条件の中撮影し、評価したのは歯内療法専門医2名、大学院生4人の計6人でエックス線写真とCT画像の観察セッションを行った観察実験を行いました。
結果は
エックス線写真では感度(*を参考にしてください)が25%で特異度(*)が100%CTでは感度、特異度ともに100%でした。
陽性的中率(*)は両方とも100%
陰性的中率(*)はデンタルエックス線は38%でCTでは100%でした。
この研究からわかることは、エックス線写真では観察が困難な病変でも、CT撮影により検出が可能な場合がある。
ということです(๑・̑◡・̑๑)
では。。。。歯科用CTの方がエックス線より詳細がわかるのなら全てCT撮影をすればいいじゃないか?
と思う方もいるのではないでしょうか?٩(^‿^)۶
しかし学会などのガイドラインなどを紐解いてもそれはあまり推奨されておりません。
なぜなら、歯科用のレントゲンは医科用レントゲンに比べ被爆量は少ないですが、歯科用とは言えデンタルエックス線よりCTの方が被爆量は大きい為片っ端からの撮影は慎むべきなのです。
おおよその比較は機種によりますが、デンタルの根尖撮影よりも被曝量は確実に多いです。
また症状もなく全顎のCBCT撮影を定期的に撮影するような事をしていると、必ず治療対象の歯が多くなってしまいます。
CBCTは確かに透過像の検知力は非常に高いですが、従来のデンタルなどの検査をしっかり行わずに撮影すると、放っておけば小さくなり治癒していくような透過像まで拾ってしまいます。
ですから、初診時にすぐにCBCTを撮影したり、定期検診で撮影するような事は危険と言えるでしょう。
ではどういった時にCT撮影が必要かと言うと
•通常のデンタルエックス線写真では分かりづらい複雑な形態が疑われる場合の確認の為
•根の病気がある歯で、レントゲンではその因果関係が確認できない場合や、
その病変の拡大や構造体による影響を鑑別診断する為
•外傷による歯根破折、位置異常、歯槽骨骨折の診断と治療の為
•外科的歯内療法における根尖の位置診断および臨在歯との解剖学的位置関係の確認の為
•インプラント治療の為(要するに周囲の解剖学的構造を知るべき時)
というのが主なCT撮影を必要とする症例です。
もちろんこの他にも必要があれば撮影しますが、やみくもに撮影する事は医療行為としても慎むべきです。よって、しんがい歯科では、本当に必要な時のみデンタルX線やCBCTなどの被曝を伴う行為は行っています。
診療に関する疑問や不安がありましたら、お気軽に相談してくださいね(*´ω`*)
難しい内容でしたがここまで読んでいただいてありがとうございました(*´ω`*)
*感度・特異度について*
感度 : 疾病のある人に行った検査が、正しく陽性を示す割合
例えば、レントゲン撮影で言えば、根の病気のある人に行ったレントゲン撮影が、正しく異常所見として透過像があると判定する確率。
特異度 : 疾病がない人に行った検査が、 正しく陰性を示す割合
例えば、レントゲン撮影で言えば、健康な根の病気がない人に行った検査が、ただしくその歯を健康(陰性)と判定する確率。
陽性反応的中率 : 陽性結果の人に正しく疾病がある割合
例えば、検査を行って陽性反応の結果が出た時に、その歯が本当にその病気を患っている確率。レントゲンで言えば、異常所見として透過像がある、と診断した時に、本当にその透過像をもった歯が正しく病気の状態か?という確率。
陰性反応的中率 : 陰性結果の人に正しく疾病がない割合
例えば、検査を行って、陰性反応の結果が出た時にその人が本当にその病気を患っていない確率。レントゲンで言えば、透過像がないと診断した時に、本当にその歯が正しく健康の状態か?という確率。