歯周病治療、手用VS超音波どちらが良いのか?
こんにちは!衛生士の小野です
日頃治療を受けている患者さんの中で、
『ガリガリ何をやっているの?まさか歯を削ってませんよね?』とか
『超音波でお掃除ってどうやっているの?』
と疑問に思う方居ませんか?(^_^;)
そこで、今回はお掃除に使っている器具についてお話したいと思います
私達が日頃、プラークや歯石をとるのに使っている器具を「スケーラー」といいます。
そのスケーラーにも種類があり、『手用スケーラー』や『超音波スケーラー』などがあります。
それぞれの状況や部位等によって使い分けられます。
そこで
超音波スケーラーと手用スケーラーはどっちが優れているの??
ということについて少し考えていきたいと思います。
昔は手用スケーラーを使った方が超音波スケーラーの場合よりも根面がツルツルになるので、お掃除をした後の歯茎の治り(歯周組織の治癒)がよいと考えられていました。
これは、ルートプレーニング(root planning)といって、病的なセメント質を除去し、歯の根っこの表面をツルツルにする行為のことです。
過去の研究(Ritzら1991.Reesら1999)においてそれを比較したものがあります。その内容とは、
『ウシやヒトの抜いた歯の歯質において、手用スケーラーを使ってスケーリングした場合、超音波スケーラーを使った場合よりも歯質が3〜10倍近く削除された』
という報告があります。
このデータを見る限りでは、「やはり手用スケーラーの方がルートプレーニングに有利では?!」と解釈できるかもしれません。
しかし以前のブログで歯のクリーニングについて書きましたが、
『歯周治療において大切なのは、ルートプレーニングによるセメント質の除去ではなく、歯肉縁下の病原菌と考えられる菌を除去し環境を変えることである』
とお伝えしたように、細菌由来の内毒素のほとんどは歯根の表面に限局していると考えられますから、
手用スケーラーの有意性は疑問であり、むしろ歯質の削除量を考えると手用スケーラーだと削りすぎてしまう…という可能性があります。
では、実際の臨床効果についてはどうなのでしょうか?
手用スケーラーと超音波スケーラーの臨床的効果を比べる過去の研究もあり、結果としては、
『手用と超音波は、プロービングデプス(歯と歯茎の境目の深さ)の改善と臨床的アタッチメントレベル(歯茎が歯についている距離を示すもので、歯周ポケットの深さを測るための数値)の獲得量に関して、効果に差はない』というものでした!
結果、超音波スケーラーと手用スケーラーでは歯周組織の治癒に違いはない!ということです^_^
治療時間の短縮、歯の削れる量、知覚過敏の問題を考えると超音波スケーラーの利点が大きく、最初の治療のアプローチとしては有効なのです。
一般的に超音波スケーラーは『治療時間の短縮化や術中・術後の不快症状が少ない』と考えられています。
ですが、使う部位によっては手用スケーラーが効果的な場合や手指の感覚という点でも有効な場合があるので、
そのその場の状況に合わせて患者さんにあった器具を見極めるのが大切になってくるんですね^_^
小野