歯が揺れている時の治療について
こんにちは!衛生士の小野です🎅
新しい年を迎えると、色々リフレッシュした気分になりますよね!
歯の定期健診はどうでしょう。チェックは済んでますか?
患者さんと話していて、
「歯がグラグラしてきて、心配」
「揺れているから固定したり、かみ合わせの調整をした方が良いんじゃないの?」
などなど、ご相談を受ける事があります。
今回は、歯がぐらぐら揺れてくる症状
「歯の動揺」
についての理由と、治療方法についてお話ししたいと思います。☺️
歯周病の症状の1つとして、一般的には思われていらっしゃいますよね?
これは歯茎の炎症に伴い、歯を支えている組織がなくなってしまうことによって引き起こされる症状です。
これを原因に患者さんが噛み合わせの不快感を訴えている場合に、機能の維持のために一時的に歯を固定させることがあります。
このことを『暫間固定』といいます。
しかし、ひと口に『歯の動揺』と言っても、歯周病によって歯がぐらぐらしてしまう動揺や、強く噛むことによって起こる外傷から生じる動揺などもあるので、そのメカニズムも対処法も変わってくるのです😅
なので大切なことは、
〝動揺の原因″に応じた処置を行うことです!
場合によっては、歯周病ではなく、根の病気が原因の時もあります!!
その時はもちろん根の治療が必要で、歯周病と勘違いして固定しても全く意味がありません!!!
歯の動揺が起こるおもな原因に、歯を支えている骨の吸収と歯根膜腔(歯根と歯槽骨の間にある空隙)の拡大があります。
骨の吸収はプラークに起因する歯肉結合組織の炎症に伴い生じるもので、いわゆる『歯肉炎』の症状です。
一方、歯根膜腔の拡大は過度の咬合力などで起こる場合が多く、いわゆる『咬合性外傷』といわれる症状です。
外傷による動揺であれば、外傷を除去するのと同時に揺れてる歯を固定することによって噛む力を多数の歯に分散させられます。
重要なことは、動揺が起きた原因に応じた処置を行うということなので、
歯周炎により動揺が生じた場合に噛み合わせの調整を行っても無意味なのです😅
また、歯の固定だけを行っても歯周炎が改善しないことはPersson(1981)の研究などで明らかになっています。
暫間固定の臨床的な意義は、
患者さんの不快感をやわらげ、噛み合わせの機能回復をはかることが主であり、
それによって歯周組織の治癒を改善させるということではないのです。
動揺は疾患の原因ではなく結果にすぎず、動揺そのものが危険ではないということを理解しなければいけません。
暫間固定は見た目の動揺を止める効果はありますが、固定したからといって治癒効果などはありませんし、
基本治療の結果を向上させる効果もありません。
極端に動揺が大きい場合には、暫間固定により逆に治療がしやすくなることもあるかもしれませんが、
いずれにせよ動揺歯の歯周治療に必ず必要な処置であるとは言えないのです!