根の治療とインプラントどっちが良いの?
こんにちはしんがい歯科医院、院長の新谷と、衛生士の小金澤です。(^-^)
今回は、「根の治療の成功率」に関連させたお話をしていこうと思います。
テーマは歯を失う時に皆さんが考える事として、
『根の治療とインプラント、どちらが成功率が高いのか?』
です。
当院の患者さんは根の治療を希望されて来院される方が多いので相談を受けていると、
多くの方は治療予定の歯が残らなかった場合、次の治療としてどんな選択肢があるのかのご質問を受けます。
この場合、歯が残らない=歯を抜く事を意味します。
歯を失うってやっぱりショックですよね、皆さん『どうしても残したい』という考えの方が多いです。
『歯を抜いたあとはどのような選択肢があるの?』
歯を抜くとその後の選択肢は・・・・4つあります。
①両隣の歯を削ってブリッジというかぶせ物を入れる
②入れ歯を入れる
③インプラントを入れる
④なにもしない(奥の歯だったりすると1つの選択肢になります)
など、お口の中の状況によって出来ない物もありますが、このような選択肢が考えられます。
この中の「インプラント」とは、人工歯根と呼ばれるネジのようなものを歯がない場所の顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯をはめ込む治療のことをいいます。
・歯の根の治療→自分の歯が残っている状態
・インプラント→人工的な歯の根を埋めた状態
という、元々が違う条件のこの2つの成功率を比較するのは難しいことです。
レントゲンだとこのように映ります。左がインプラントで右が根の治療をした歯になります。
『根の治療成功率』
次に、『成功の基準』について、問題点などを含めていろいろな角度から考えていきたいと思います。
『成功率の基準について』
根の治療の成功率は、初めての根の治療であれば約90%位の成功率であると言われています。
しかし、再治療の場合はいくつかの評価基準があることから、厳密に成功率を提示することは難しいですが、
それでも一般的に言われている数字をまとめると・・・・
・初めての根の治療→90%
・病気がある初めての根の治療→80%
・病気がない再治療→80%
・病気がある再治療→60~70%
とされています。
こうしてみると、2回目以降の再治療の治療は成功率が下がります。
その治療を行った上で治りきらない最後の手段の治療として「外科的歯内療法」という方法があります。
レントゲンだとこのような状態になります、根は短くなっていますが、黒い影の病気はなくなっていますよね?
この治療方法は近年のマイクロスコープを用いた手法によって90%程に高まった、と言われています。
『インプラントの成功率について』
では次に、インプラントの成功率はというと…?
色々な研究結果がありますが、80~90%の成功率としているものが多いようです。
ただ、インプラントの場合、インプラント周囲炎などの問題が起こっている場合でも、口の中にインプラントが残っていて機能していれば「成功」としています。
成功率と言うよりは「生存率」と言えるかもしれませんね。
『成功率を比較する際に注意したいこと』
どんな治療を受けるか考えたとき、気になる事は
「治療してからどのくらい長くもつのか?」
ですよね。
果たして、インプラントと根の治療での差はどうなのでしょうか?
結論から言いますと《どちらも大きな差はない》 です!
ただし、インプラントは入れたかぶせ物にトラブルがおきて追加治療するケースが多いのと、その費用を考慮する必要があります。
また、インプラント周囲炎にも注意が必要です。
これは文字どおりインプラントの周りの組織で起こる炎症の事で、粘膜で炎症が起こるものからインプラントを支える顎の骨にまで影響が出ることもあります。
ですが、歯が無くなってしまった所を補い、噛む機能の改善などに大きく貢献するため、歯を残せないケースの治療法としては良いものと言えるでしょう。
『歯を残すことのメリット』
また根の治療をすることの大きなメリットとして「歯根膜」の存在があります。
「歯根膜」は歯の根の周りにあって、これが噛む力を吸収・分散して歯や顎の骨にかかる負担を和らげてくれます。
この機能は人工物のインプラントにはないとても優位な面です。
このように、
改めて2つを比べてみると、単純にどちらの成功率が高いという比較だけでは治療法は決められない
事がわかります。
実際に治療を検討する際には、一人ひとりの患者さんにあわせて問題点なども踏まえて総合的に判断してご説明していますのでよろしくお願いいたします。
新谷、小金澤